食道癌
食道は、のど(咽頭)と胃の間をつなぐ長さ25cmぐらい、太さ2~3cm、厚さ4mmの管状の臓器です。食道の壁は外に向かって粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4つの層に分かれています。年齢別にみた食道がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに40歳代後半以降増加し始め、特に男性は女性に比べて急激に増加します。罹患率、死亡率ともに男性のほうが高く、女性の5倍以上です。食道癌については、喫煙と飲酒が確立したリスク要因とされています。症状に関しては、食道がしみる感じ、つかえる感じ、体重減少、胸痛・背部痛、咳声のかすれ等があります。健康診断や人間ドックのときに、内視鏡検査などで発見される無症状の食道癌も20%近くあります。無症状で発見された食道癌は早期の癌であることが多く、最も治る確率が高い癌です。
食道癌の診断には、上部消化管内視鏡が最も有効です。病変の位置や大きさだけでなく、病変の数、病巣の広がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や陥凹(かんおう))、色調などから、病巣の数や、ある程度のがんの進展の深さを判断することができます。食道の内視鏡精密検査では、通常の観察に加えてルゴールを用いた色素内視鏡を行います。その他、当科では、NBI・拡大内視鏡など最新の内視鏡技術も駆使し、早期食道癌の発見に努めています。
治療としては、早期癌に関しては、ITナイフnanoを用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という内視鏡手術を積極的に施行し、一括切除しています。深達度の浅い癌であれば、どんな広範囲の癌でも、内視鏡で切除可能です(下記の動画を供覧してください)。また、内視鏡治療後の早期合併症である出血・穿孔予防ならびに晩期合併症である食道狭窄の予防のため、ネオベールという粘膜保護シートによる粘膜被覆術等も行っています。
進行癌に関しては、放射線化学療法等の加療も行っています。
当科でのESD