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膵がん早期発見のために


診療放射線技師  青野 瞳

膵臓(すいぞう)は胃の後ろにあり、長さはおよそ20cm、厚さは2cmほどの細長い臓器です。血糖値を調整するホルモンのインスリンを分泌したり、食べ物の消化を助ける消化液を作ったりと、私たちの体に欠かせない役割を担っています。

ところが膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気があっても初期には症状が出にくいのが特徴です。特に膵がんは見つかったときには進行していることが多く、全がんの中でも5年生存率が最も低いとされています。ただし、腫瘍の大きさが1cm以下で発見できれば、5年生存率は80%に上がるといわれており、早期発見が何より大切です。

当院の検診部では腹部MRI、膵臓エコー、血液検査(腫瘍マーカー)を取り合わせた「膵がんコース」をご用意しています。その中の一つの腹部MRIの検査について紹介します。所要時間は30〜40分ほどで、ベッドに仰向けに寝て行います。検査時間がやや長いため、仰向けがつらい方には脚の下に枕を入れるなどしてできるだけ楽な体勢で受けていただけます。検査中は、ヘッドホンからの技師の合図に合わせて呼吸を止めたり、一定のリズムで呼吸を繰り返したりして撮影を行います。

膵がんの多くは膵管に異常を起こします。また膵頭部と呼ばれる場所にがんができると、隣を通る胆管を圧迫することがあります。これらを詳しく調べるのがMRCP(MR胆管膵管撮影)です。MRCPでは膵管や胆管の状態を詳細に写すことができるため、膵がんの早期発見につながります。また、造影剤を使わずに検査を行うため、副作用や体への負担が少ないのも特徴です。さらに、MRCP以外の複数の撮像法も組み合わせて総合的に評価を行っています。

膵がんのリスクが高いとされるのは、糖尿病のある方、大量の飲酒や喫煙をされている方、ご家族に膵がんを経験された方などです。このような方には特に検査をおすすめします。膵臓は沈黙の臓器と呼ばれていますが、膵がんコースで早期発見のチャンスを高めていただければと思います。
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