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呼吸機能検査でわかる肺の健康 ~正しく知って、早めの対策を~


臨床検査技師  箕輪 友里香

私たちは日々、当たり前のように呼吸をしていますが、その「呼吸の力」がどれくらいあるかを測ったことはありますか?呼吸機能検査は、肺がどれくらい空気を取り込めて、どれだけ吐き出せるかを数値で評価する検査で、肺の動きや空気の通り道である気道の状態を知ることが出来ます。呼吸器の病気を調べるときはもちろん、手術前の全身状態の確認や、健康診断などさまざまな場面で行われています。特に、慢性的な咳や息切れ、喫煙歴のある方にとっては、自分の肺の状態を知る貴重な手段となります。

検査では、専用のマウスピースをくわえて、技師の合図に合わせて息を吸ったり吐いたりします。「大きく息を吸って、思いっきり最後まで吐いてください」などと声をかけられながら、肺活量や1秒率などの数値を測定します。力を抜かずに息を吐ききるのは意外と大変ですが、これが正確な結果を得るためにとても大切です。

この検査で、気道が狭くなり息が吐きにくくなる「閉塞性障害」(例:慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉や喘息)、肺が硬くなって膨らみにくくなる「拘束性障害」(例:間質性肺炎など)を評価することができます。

検査は数分で終わり、痛みもなく安心して受けられますが、正確な結果を得るためには患者さんの努力と協力が欠かせません。特に「息を全部吐ききる」ことが重要で、途中で力を抜いてしまうと誤った診断につながることもあります。

呼吸器の病気は、初めのうちは自覚症状が少ないことも多く、「年齢のせいかな」と見過ごされがちです。とくに40歳以上の方や、喫煙経験のある方、少しの動作で息切れを感じる方は、呼吸機能検査を一度受けてみることをおすすめします。

肺の健康は、日々の生活の質に大きく関わります。呼吸機能検査を活用し早期発見・早期対策を心がけ、肺の元気を守っていきましょう。
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