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発がんリスクを考慮した人間ドックにおける腹部超音波検査


放射線診断科部長  島矢 早苗

腹部超音波検査が早期のがんの診断に役立つことはいうまでもありません。しかし元々装置や検者依存性が高いことに加え、検査結果において統一となる基準がなかったため客観性に乏しく、有効性を評価しづらいといった弱点がありました。

そこで数年前に、超音波検診に対する検査後の説明の改良として、用語や判定の解釈をより具体的に明解にするための見直しが行われました。そこでは、例えば肝臓がんのリスク判定として、がん発生のベースとなりうる肝硬変の有無、慢性の肝機能障害を伴う脂肪肝の有無が追加されました。胆嚢、胆管がんでは、腫れがあるか、胆泥(沈殿物)が溜まってないか、膵がんでは嚢胞の有無、膵管拡張などが高リスクと設定されています。

さらに超音波検査は良・悪性を問わず、経時的変化の観察が可能です。直接がんを指摘できなくても、リスクの高いものを早期に拾い上げ精査に進めることができ、非常に有効性が高いと考えられることから、今後検診においてさらに普及していくことが期待されます。
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