ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

偽痛風(ぎつうふう)をご存知ですか


整形外科副部長  久保田 解

皆さんは偽痛風という病気をご存じでしょうか。あまり聞きなれない病気ですが、痛風と名前に入っている通り、痛そうな病気だというのはイメージがつきやすいかもしれません。

痛風は一般的に30~50代の男性に発生することが多いと言われています。アルコールや食事、肥満などが関連しており、初めて発症する時は足の親指の付け根に起きることが多く、赤く腫れて強い痛みが出ます。冷えや軽微な外傷がきっかけとなって、関節の中に痛風が結晶になって出てきて強い炎症を起こしていると考えられています。

一方で偽痛風は高齢の方で多く発生します。平均年齢は70~80歳代とも言われ、女性にも多く発生します。軽微な外傷がきっかけとなって発症する例や、入院中に発症する例などがあります。偽痛風では関節の中に尿酸結晶ではなく、ピロリン酸カルシウムという物質が結晶となって出てきて、痛風と似たようなメカニズムで炎症を起こします。痛風は足の親指に多いですが、偽痛風はより大きな関節に多く発生します。最も多いのが膝関節で、他にも手関節、足関節、肘関節、肩関節、股関節で発生することがあります。

発作が起きた関節は熱を持ち、関節内に液体が溜まって赤く腫れて強い痛みを生じ、発熱を伴うこともあります。関節に針を刺して中の液体を吸い出すと、濁った関節液が引けることが多いです。この関節液を特殊な顕微鏡で観察して、ピロリン酸カルシウム結晶が見えると、偽痛風と診断できます。液体を抜いて関節内の圧が下がると痛みがひきやすく、安静にして局所を冷やすことや、痛み止めの薬が有効な場合が多いです。何もしなくても2週間ほどで自然と症状が落ち着くこともあり、経過は比較的良好です。

ただし、関節内に細菌が感染して起こる化膿性関節炎でも似たような症状が出るため、判断が難しい場合もあります。化膿性関節炎は手術を要する場合が多い病気なので、常に感染の可能性を考慮する必要があります。

年齢とともに関節も老化し痛みを生じることが増えますが、急な痛みや腫れに発熱を伴う場合には偽痛風という疾患の可能性もあることを知っていただければと思います。
このウィンドーを閉じる