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透析治療の実際 ~安全なエコー下穿刺とは~


臨床工学技士  大島 慎太郎

透析療法では、腕の血管に血液を取る側(脱血)と返す側(返血)の2本の針を刺し、血管と透析機器をチューブでつなぎます。そこから血液ポンプを使って血液を体外へ送ります。取り出された血液は、ダイアライザー(血液浄化器)を通して老廃物や余分な水分を除去します。きれいになった血液は、返血側の血管から体内に戻します。1回の透析にかかる時間は、約3~5時間で、この治療を週に3回行います。

透析治療の過程で、一番重要な作業が穿刺になります。まず、2本の穿刺がうまくいかないと透析治療が開始できません。穿刺は、患者さんの血管を『視て、触って(触診)、確認して』針を刺すことです。しかし、血管が細く、触診しても血管が分かりにくい患者さんでは、うまく穿刺が出来ないことがあります。これは、透析患者さんの高齢化や糖尿病性腎症、腎硬化症の増加により、血管がもろく、細くなってきていることが要因として挙げられます。

透析療法において穿刺は必要不可欠ですが、患者さんにとっては大きな苦痛を伴い、過大なストレスとなります。そこで、穿刺に伴う苦痛を最小限に抑えるため、当院では、穿刺困難な患者さんに対し、エコー(超音波画像診断装置)を使用して穿刺を行っています。

エコー下穿刺とは、エコーを用いて、穿刺部位に皮膚の上から超音波を当てて、血管径、深さ、位置、血管内部を確認しながら、リアルタイムで穿刺を行う方法です。そのため、穿刺困難な患者さんへ、スムーズな穿刺が可能となりました。

また、当院では、常勤医師が不在であり、血管トラブルに対する血管造影や血管の手術などは、近隣病院へ紹介して行っています。そのため、血管障害は早期発見、早期治療する事が重要になってきます。

私たち、臨床工学技士は看護師と血管情報を共有して、血管トラブルを事前に防ぐため、エコーを使用して血管の状態を定期的に観察しています。血管に異常があれば、すぐに報告し対応しています。このように、安全な透析治療が行えるよう、日々協力して対策や工夫を行っています。

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