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オーラルフレイル健診について


第3歯科口腔外科部長  高山 裕司

現在の日本は、世界でも類を見ない超高齢化社会に突入していると言われています。その理由として、高齢化の進行の速さ(高齢化率が7%を超えてから、その倍の14%まで達する年数)が挙げられ、このままのペースでいくと、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、75歳上が全人口の18%になり、65歳以上が占める割合は、約30%になるとも推測されています。超高齢化社会を迎えた日本では、この高齢化問題に対して、医療の面では慢性疾患が増加し、認知症、ロコモティブシンドローム、そしてフレイル(虚弱)が問題となっています。

フレイルはもともと2014年に日本老年医学会が虚弱(frailty)のことを「フレイル」と呼ぶようになり、フレイル対策の軸になるものが「食力」であることからオーラルフレイルが注目されるようになりました。その概念の作成は、平成25年度厚生労働省老人保健健康増進事業で提唱され、オーラルフレイルは、「老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予備能力の低下も重なり、口腔の膀弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下まで繋がる一連の現象及び過程。」と定義され、現在、超高齢化社会となった日本の大きな問題として取り上げられています。

当科では、こういった事情を鑑み、2020年4月からフレイル健診の一環としてオーラルフレイル健診も開始しました。健診申し込みは、人間ドックの中にフレイル健診がありますので、その時にオーラルフレイル健診の申し込みができ、健診は歯科口腔外科外来で行い、結果は、その他の健診結果と同時に健診担当医師より説明があります。オーラルフレイルについては、口腔と身体には密接な関係があること、オーラルフレイル対策には病気と同様に予防と早期発見が重要であることから、口腔や身体の些細な衰えを見逃さず適切に対応していく必要があると考えられています。オーラルフレイルへの対策は、健康な時やフレイル状態にある時だけでなく、要介護状態になっても必要であるため、現在の日本おいてオーラルフレイル対策はフレイル対策の中でも最重要課題とされています。まだ、対策の具体的な方向性は決まってはいませんが、今後、その担い手であるわたしたち歯科の重要性は日に日に増していくものと考えられます。

当院人間ドックを受けられる方でオーラルフレイル健診の希望がありましたらお申し出ください。

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