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ロコモティブシンドロームについて


整形外科医師  石坂 佳祐

新聞や雑誌などでロコモという言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。ロコモとはロコモティブシンドロームの略で『立ち上がる、歩く』といった移動能力が低下した状態です。日本では10年後に人口の1/3が高齢者になりロコモの割合が増えると予想されます。

移動能力が低下し、ロコモが生じるとなぜ問題なのでしょうか。年齢を重ねるごとに腰や膝の痛み、足のしびれ、骨粗鬆症などが生じてきます。このことで関節の可動域が悪くなる、姿勢が悪くなる、筋力が低下するといった運動機能の低下が生じます。そして、転んでしまい骨折した(大腿骨近位部骨折など)、腰の圧迫骨折(いわゆるいつの間にか骨折)、活動制限(家に閉じこもりがち)などが出てきます。これでは『健康寿命』は延びず、介護が必要になるどころか、しまいには寝たきりの状態になってしまいます。

ロコモを予防する1つの方法は『運動』です。運動することで、ロコモの始まりである、膝や腰の痛み、骨粗鬆症が改善され、筋力強化にもつながります。運動は肉体的だけでなく精神的にも効果があると言われています。運動といっても難しいことは必要なく、歩くといった有酸素運動やエレベーターではなく階段を使うといった小さいことから始めることが大切です。運動習慣をつけることが大事になってきます。

自分がロコモかどうか簡単にチェックする方法があります。ロコチェックと言われています。

○片足立ちで靴下がはけない、○家の中でつまずいたり、滑ったりする、○階段を上るのに手すりが必要である、○家のやや重い仕事が困難である、○2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である、○15分くらい続けて歩くことができない、○横断歩道を青信号で渡りきれない

1つでも当てはまるとロコモの可能性があります。
またロコモ度テストと言われる、移動機能を確認するテストもあります。『立ち上がりテスト』、『2ステップテスト』、『ロコモ25』の3つのテストから成り立っています。

ロコチェックもロコモ度テストも日本整形外科学会HPに掲載されています。

ロコモにならないためには運動が必要と言いましたが、膝関節や股関節、腰の痛みがある場合は運動が困難な場合もあります。当院には関節や脊椎を専門としている整形外科医がおりますので、ぜひ相談してください。

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