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ロコモティブシンドロームと2025年問題について


第6整形外科部長  井上 隆志

ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)をご存知ですか?2025年問題をご存知ですか?

ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気(変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症など)、骨粗鬆症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになる、またはそのリスクの高い状態のことです。日本整形外科学会が2007年に提唱しました。最近では巷で耳にする機会も増えてきましたが、それでも認知度は2016年度で47.3%との報告もあり、まだあまり知られていないようです。なぜロコモ、ロコモと言われるようになったのか?それは2025年問題とも関係しています。

2025年問題とは団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者になる年が2025年ということです。あと10年もせず、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢社会がやってきます。医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障財政がこれまで以上に逼迫していくのは間違いありません。だからこそ、これからの社会は介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間(健康寿命)をいかに延伸するかが重要な課題となります。

要介護になる主な原因として、5人に1人が「骨折・転倒」、「関節疾患」など運動器の障害であることが明らかにされており、要支援になった3人に1人が運動器に起因するものです。寝たきりにならないために、運動器の障害を予防することが大切なのです。

ロコモの予防には、運動と食事のバランスが重要と言われています。運動ではロコモーション・トレーニング(ロコトレ)が推奨され「開眼片脚起立」と「スクワット」2種類の運動が膝や腰への負担が軽く、かつ安全で家庭でも簡単にできるものとして日本整形外科学会のホームページで紹介されています。また食事ではエネルギー摂取量が不足すると、骨量や筋肉量の低下を招くことから、いろいろな食品をバランスよく食べることが重要で、以下の10項目(1.肉, 2. 魚 3. 卵, 4. 大豆・大豆製品, 5. 牛乳・乳製品, 6. 緑黄色野菜, 7. 海藻類, 8. いも, 9. 果物, 10. 油を使った料理)をできるだけバランスよく食べるようにしましょう。他にも日本整形外科学会のホームページでは柔軟体操や腰痛体操、膝痛体操も一緒に紹介されていますので一度ご覧になってみてはどうでしょうか。

(参考)日本整形外科学会ホームページ
    全国ストップ・ザ・ロコモ協議会ホームページ

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