ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

在宅へつなぐ口腔ケア


第2歯科口腔外科部長  松井 宏

「口腔ケア」という言葉は、医療や介護の現場でだいぶ浸透してきていると感じていますが、いかがでしょうか。文字通り“「口腔」=「お口」”の“「ケア」=「お手入れ」”をすることで、生命の源をなす栄養をお口から摂取できるように、口の中を清潔で食事の取りやすい状態に保ち、それによっていろいろな病気にかかりにくい身体を作り、充実した生活を送ろうという考えであり技術でもあります。

たくさんの病気の中でも、特に高齢者と「口腔ケア」との関連が深いものに、誤嚥性肺炎があります。どこの病院でも、誤嚥性肺炎で入院された方はもちろんのこと、入院期間中に誤嚥性肺炎を生じる危険性がある方には、積極的に「口腔ケア」を行っています。その主体は病棟の看護師になりますが、歯科専門職が介入することでケアがしやすい口腔状況にすることや、ケアのアドバイスができることもあり、歯科医師や歯科衛生士が関わる事もしばしばあります。

さて、入院中はそのようにして「口腔ケア」が行き届いても、いざ退院となるとどうでしょう。退院後自宅へ戻られる場合、ご本人や介護者だけでは口の中の清潔さを保てなくなるのではないか、誤嚥性肺炎を繰り返してしまうのではないかと、不安に感じませんか?

その不安を解消するため、上越歯科医師会では、訪問歯科診療や訪問口腔ケアを推進しています。また、在宅歯科医療連携室が開設されており、ご家族やご本人またはケアマネージャーから連絡を入れて頂くと、訪問担当歯科医院を斡旋してくれるのです。(電話&FAX:025-527-2844、上越歯科医師会ホームページのメールフォームからの問い合わせも可能)

さらに当院では、歯科がその橋渡し役を行っています。通常退院前には、退院後の支援方法を相談するべく、ケアマネージャーらが中心となって退院時カンファレンスが開催されますが、ご自宅に戻られる方の場合には、その会議に当科や訪問歯科担当者ら歯科関係者も出席させてもらい、口腔に関する支援の相談に加わらせてもらおうという取り組みです。まだ軌道に乗っているとは言い難く件数はごく少数なのですが、退院後自宅へ戻られる方々が安心して生活できるよう、お役に立ちたいと考えております。

このウィンドーを閉じる