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いつのまにか骨折を防ぐために


骨粗鬆症マネージャー  小林 薫

「背中が曲がってきた」「背が縮んだ気がする」「腰が痛い」でも歳のせいかな?と思っていませんか?これらの症状には、骨粗鬆症が隠れている可能性があります。

骨粗鬆症は、骨の中がスカスカの状態になり、骨が脆くなる病気です。骨は作る事と壊す事を繰り返し、強さと柔軟性を保っています。正常な骨では、古い骨の破壊と新しい骨の形成のバランスが保たれていますが、骨粗鬆症では古い骨の破壊が新しい骨の形成を上回ることで起きます。

骨粗鬆症の最も重大な合併症は骨折です。骨粗鬆症が原因で発症する骨折を脆弱性骨折と言います。本人が気づかないうちに腰の骨がつぶれたり、軽い衝撃で骨折が起こります。特に骨折しやすいのは椎骨(腰の骨)、大腿骨近位部(足の付け根)、橈骨遠位部(手首)です。

骨粗鬆症は、それ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが、「骨粗鬆症による骨折」から要介護状態になる人は少なくなく、死亡率もあがります。日本は超高齢社会です。平均余命を考えて健康寿命を延ばし、長い人生楽しく過ごしていこうと国をあげて取り組んでいます。多くの人は加齢とともに骨密度が減っていき、特に女性は閉経後女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が減ります。歳をとれば誰でも骨粗鬆症になる危険性は高くなりますが、適切な治療や生活習慣で、その進行をくい止めることができます。まず、自分の骨の状態を知る事が大切です。骨の状態を知る為には、骨密度やレントゲンなどの検査が必要です。骨粗鬆症と診断されたら薬の治療が中心になります。治療薬は、継続していかなければ効果が得られません。骨の状態、年齢、ライフスタイルなどに合わせて、継続して治療を行なえるように個々の患者さんに応じて薬の選択をしていきます。食事療法ではカルシウムが重要であり骨粗鬆症予防の為には毎日800㎎以上摂取するのが望ましいと言われています。運動療法は、骨密度を維持・上昇させる効果があります。

当院には、看護師5名、理学療法士2名の骨粗鬆症マネージャーがおり、整形外科部長岡部医師と協力し、骨粗鬆症予防看護専門外来を行なっています。骨粗鬆症について聞いてみたい、検査を受けてみたい、治療中の不安など、何でも御相談ください。
「私は、大丈夫」と思っている方も、骨折による寝たきりを予防し長い人生を楽しく過ごしていくために、ぜひ、骨粗鬆症の検査を受けてみていただきたいと思います。


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