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早期胃がんの1泊2日短期入院治療をはじめました


消化器内科部長  前川 智

 早期胃がんに対する治療として、2006年4月より内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が医療保険の適応となり、日本国内では広く行われるようになっています。ESDでは従来のEMR(内視鏡的粘膜切除術)と比べると、一括切除率が90%以上と高率であり、遺残再発する可能性が低く、早期胃がんの根治療法として当科でも積極的に行っています。
 ESDの合併症としては、出血と穿孔があり、出血率は2〜16%、穿孔率は1〜6%となっており、術後1週以内に起こる可能性が高い傾向にあります。ESDを行うことにより、病変があった部位が必ず人工潰瘍となります。上記合併症の予防のため、ESD施行後1〜2日は欠食が必須で、その後3分粥→5分粥→全粥というように食事療法も必要となります。したがって、ESDを行っている施設は、1週間から10日の入院加療を行っており、当科も10日間入院のESDパスを導入しています。ESD後出血や穿孔を来した場合は、入院期間がさらに伸びる傾向にあり、大きな穿孔を来した場合などは、外科治療を要するケースもあります。
 しかし、ESDの入院期間の10日間を長いと不満を訴える患者さんが多数いらっしゃいます。特に勤労者の患者さんからは、なかなか長期の休みをとることができないので、もう少し短期間で治療してもらえないのかという要望を多数頂戴しています。
 そこで私達は、OTSC systemという内視鏡的な全層縫合器を行い、ESD施行後の人工潰瘍を閉鎖することで、大幅に入院期間を短縮し、1泊2日の短期入院を行うことを考案しました。対象患者さんを、ESDの絶対適応(2p以下の分化型胃がんで、潰瘍瘢痕合併なし)となる早期胃がんを有する20〜70歳くらいまでの患者さんで、短期入院を希望する方としました。
 すでに数例の患者さんにおこないましたが、無事1泊2日で退院されています。ご興味のある方は下記メールアドレスまで連絡してください。
 もちろん、胃がんの早期発見のためには、年1回胃カメラを行う必要があることはいうまでもありません。
 メールアドレス:naishikyo@niirou.jp

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