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NEATを増やしましょう!!


糖尿病看護認定看護師  金 井 ち づ る

 日本における糖尿病人口は、近年増加し続けています。厚生労働省「2011年国民健康・栄養調査報告」の国民生活基礎調査から無作為に抽出した全国8,247人を対象に行われた調査では、糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」が合わせて27.1%と推定されました。日本の成人の4人に1人以上が糖尿病かその予備群であることが明らかになり、これはとても脅威的な事実です。
 よく言われているのは、1950年頃から自動車の普及とともに糖尿病の患者さんが増えてきたことです。現在は、昔と比べると大変便利な世の中になりました。移動には自動車、エスカレーター、エレベーター、動く歩道が普及しています。家事では、洗濯機や食器洗浄機、掃除機が使用されています。昔は洗濯をするのに手でゴシゴシと洗って干していたのを、今はボタン1つで機械が洗ってくれます。部屋中の床を走り回る掃除機も登場しました。買い物もインターネットを使って、家に居ながらできるようになりました。暮らしが便利になった分、運動不足になりがちな生活環境になり、これらの要因が糖尿病や肥満の発症に関係していると言えます。

 「NEAT(ニート)」という言葉を知っていますか?NEAT(Nonexercise Activity Thermogenesis:非運動性活動熱産生)とは姿勢の維持や、歩く、話すなど日常生活におけるエネルギー消費のことで、体重の増減に重要な役割を担っています。NEATを増やすことでエネルギー消費量や基礎代謝量が増え、減量につながります。肥満、特に内臓脂肪型肥満は糖尿病の発症に関係しているため、NEATが増えることで糖尿病の発症を予防することができると言えます。
 太っている人とやせた人について、日常生活の中での時間配分の違いを調べた研究があります。その結果を見ると、横になっている時間(睡眠や昼寝など)は両者ともほぼ同じくらいですが、やせた人に比べると太っている人は、160分間座っている時間が長いことがわかりました。その間、やせた人は立ったり動き回ったりしています。太っている人がやせた人と同じ時間だけ動いていれば、1日平均約350kcalのエネルギー消費量が増え、1年間に15sの減量につながる可能性があるそうです。
 実際にNEATを増やすには、@姿勢を伸ばす、A(電化製品の)リモコンを使用せずこまめに動く、Bエレベーターは使用せず階段を使う、C遠くの駐車場を利用する、など小さなことを積み重ねることが重要です。また、NEATを増やすことで減量が期待できるだけでなく、インスリン感受性(インスリンの効きやすさ)も改善します。
 皆さんも身近なところから「NEAT」を増やし、糖尿病の発症や進行を予防しましょう。

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