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長く続く咳について


第3内科部長  関 川  宗

 昨今は中国からの黄砂、大気汚染物質のPM2.5などがメディアを騒がせており、不安を感じている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。日本でも高度成長期には工業化にともない4大公害の一つとして四日市の大気汚染がとりざたされました。大気汚染による健康被害に関しては呼吸器系、循環器系など影響は多岐に渡ると言われています。特に喘息、慢性気管支炎、肺気腫などの基礎疾患がある方にはその影響が懸念されます。
 咳は気管内の異物や、喀痰などを身体の外に排出する重要な防御反応です。実際に3週間未満の咳はほとんどが細菌、ウィルス等による感染症が原因です。しかし長く続く咳では他の原因が隠れている可能性があり注意が必要です。風邪が治ったはずなのに咳がまったく良くならないといった症状がある場合は咳喘息かも知れません。
 咳喘息の特徴としては@喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)を伴わない咳が1ヶ月以上続いているA気管支拡張薬が良く効くB咳き込んで深夜や早朝に目が覚めるCたばこや線香の煙、香水、魚を焼くニオイ、冬の冷たい外気、夏の冷房などで敏感に咳き込むDほとんど痰はでないEかぜの後に起こる事が多い、などがあります。原因としてはアレルギーが関与していると言われていますが残念ながら詳しい事は解っていません。
 咳喘息の治療には吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗アレルギー薬が使われますが確実に効果があるのは吸入ステロイドで第一選択薬になります。これらの治療は喘息と似ており、風邪薬、抗生剤、咳止めの薬は効果がありません。多くは治療で治りますが、放っておくと喘息に移行することもあります。早くに適切な治療を始めることで喘息の発症を少なく出来る事が解っています。ただし感染症や喘息による咳と区別がつきにくい場合が多く、治療を行いながら診断がつく症例も少なくありません。もし咳が長く続き、風邪薬、咳止めの薬を飲んでも効果がないようでしたら呼吸器内科受診をご検討下さい。

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