ろうさいニュース

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終わりよければすべて良し

外科副部長  福 田 進 太 郎

 早いもので新潟に来てそろそろ4年となり、初めは雪に感動していたのですが、最近はあまり気にならなくなりました。それでは、本題に入りましょう。
 お便りをいただきました。市内在住の方からです。
「最近よくトイレでいきんだ後に、ティッシュでふくと血が付いています。自分では、痔のせいではないかとかんがえているのですが?」(60歳代・女性)
 痔は、大きく分けて、3つに分けられます。俗に「いぼじ」といわれる痔核、また、「きれじ」といわれる裂肛、そして肛門の周囲が赤くなり、痛み膿が出てくる痔瘻、肛門周囲膿瘍などです。
 中でも、トイレでいきんだ時に、出血するというのは、痔核が疑われます。この原因としては、冷え、妊娠、出産、アルコール、力仕事、長時間の座業等があります。しかし、最も多い原因は排便習慣によるもので、便秘などのために、トイレで長時間いきむことにより、肛門の静脈が広がり痔核になるのです。
 このため、痔核でも軽いうちは、便秘にならないようにする、肛門を清潔にする、ゆっくりお風呂に入って循環をよくすることで悪化を防げます。さらに、炎症を抑える坐薬等を使用することがあります。しかし、痔核が大きく肛門の外まで出るようになってくると何らかの処置が必要となります。昔は切除することが中心でしたが、最近はALTA(ジオン)といった注射でも治療することができます。これは注射によって痔核を硬化させる治療で切除に比べ術後の痛みがあまりないのが特徴です。
 特に、女性の方は恥ずかしいのであまり病院に来たがりませんが、早期に治療をすれば手術をしなくても済みます。また、自分では痔だと思っていても、実は大腸癌があり出血している場合もあります。このため、下血で来院された方には大腸ファイバーや注腸検査にて大腸を調べることもお勧めしています。
 昔から終わりよければすべて良しと言いますが、肛門は消化の終わりの大事な場所です。相談があれば、気軽に受診してみてください。

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