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あごの関節の病気 −顎関節症−

歯科口腔外科医師   山 裕 司

 「あごに音がする、あごが痛い、口が開きにくい」このような症状をお持ちの方はいませんか?これは、顎関節症と呼ばれるあごの関節の病気です。今回のテーマは、顎関節症についてです。
 膝や肘にも関節があるのと同じであごにも関節があります。その関節や周囲の筋肉などに異常が起こるのが、この“顎関節症”です。顎関節症は、20〜50歳代に多いですが、子供やお年寄りにも発症し、性別ではやや女性に多いといわれています。原因は、かみ合わせ、習癖(はぎしりなど)、外傷、ストレスなど特定したものはなく、日常生活では口を開けると耳の前に“カクカク、パキパキ、カクンカクン、ジャリジャリ”といった音がする、耳の前やほほあたりが痛くて口が開きにくい、もしくは痛くないけど口が開かないといった症状が主なものです。治療法は、症状にもよりますが、スプリントと呼ばれるマウスピースの使用や顎関節周囲に電気を流したり、口を開ける練習といった理学療法(リハビリみたいなもの)が主体になり、日常生活では、片側だけで物を咬まない、頬杖をつかない、うつぶせで寝ないといった注意が必要です。
 この病気の大きな問題点は、口が開きにくくなることと痛みです。一般的に日本人は、男性で40〜45mm、女性で35〜40mmくらい口が開くといわれています。これは、ご自分の手の指の3〜4本が縦に口の中に入るくらいです。実際に自分で指を入れてみてください、何本はいるでしょうか?もし、指が2本しか入らなかったら、“お寿司”のような厚みのあるものが食べにくいと思います。また、痛みに関しては、治療を行えば消えることがほとんどですが、稀に鈍い痛みが残ることもあります。
 もし、顎関節症かな?と思ったら一度ご相談ください。症状が頭痛や神経痛に似ていることもあり、まず本当に顎関節症であるかどうか診断する必要があります。症状にもよりますが、ほとんどの方は、マウスピースなどの保存的な治療で良くなっており、時間もかかりません。自覚症状が出てから時間が経ちますと、治療に時間がかかる場合もありますので、お早めに受診されることをお勧めします。

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