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『 花 粉 症 』

眼科副部長  那 須 貴 臣

 現在多くの人を悩ませている花粉症は、スギやヒノキといった植物の花粉が原因となっておこるT型アレルギーのことで、目の症状としては、かゆみや充血などのアレルギー性結膜炎を起こします。花粉症の人の数は年々増加傾向にあり、今まで花粉症ではなかったのに、突然今年から症状が始まったと言われる患者さんも少なくありません。2008年はスギ花粉が3月初めから飛散し、例年より大量に飛散したため、花粉症の患者さんが多かったように思います。一般に夏の気温が高いと翌年のスギ花粉の飛散量は増加するといわれています。2009年のスギ花粉の飛散予想は、西日本で例年より多めで、新潟は例年並みかやや少ないと予想されています。
 花粉症の病態メカニズムを簡単に説明すると、花粉が抗原となり体内に侵入し、免疫反応によってヒスタミンなどのメディエーターが放出され、そのメディエーターが細胞や神経などの受容体に作用して、かゆみや充血などの症状を起こします。そのメカニズムから抗アレルギー点眼薬の作用は2通りあり、1つはメディエーターの放出を抑える作用と、もう1つはヒスタミンが受容体に作用しないようにするものです。前者は効果がみられるまでに少し時間がかかるため、花粉症の人は症状が起こる前に予防的に点眼を始めることが有効です。後者は即効性があり、かゆみに対して良く効きます。これらの薬は比較的副作用は少ないのですが、妊婦の方は控えた方が良いです。抗アレルギー点眼薬を使用しても効かない人は、ステロイドや免疫抑制剤などを使用することもありますが、副作用などを考えると抗アレルギー点眼薬のみで対処することが望ましいです。
 日常の対策法としては、保護マスクや保護メガネを使用することや、花粉は晴れの日に飛散しやすいため、風の強い晴れた日の日中はできるだけ外出を控えることをお勧めします。また、帰宅後は着ていた衣類に付着した花粉をすぐに落とし、室内は空気清浄機などを使って空気をきれいにすることなども有効です。コンタクトレンズを使用している人は、ワンデイタイプのソフトコンタクトレンズに換えることや、場合によっては思い切って近視矯正手術を受けてみるのも一つの対処法だと思います。
 花粉症は早期治療かつ適切な治療が重要ですので、花粉症かなと思った方は一度眼科を受診することをお勧めします。

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