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前立腺癌について

第2泌尿器科部長  志村尚宣

 検診などで、前立腺特異抗原値(PSA)が高値といわれると、前立腺癌を疑い、泌尿器科受診を勧められます。前立腺癌か否かは最終的には前立腺針生検という検査で判断します。この検査は痛みを伴うため、多くの病院では入院して麻酔をかけて行なっています。
  前立腺癌疑いのためこの病院の泌尿器科を受診した場合、すべての方にこの前立腺針生検をするわけでは有りません。生検をするかどうかは、PSAの値がどの程度高値か(過去受診歴あればそのときの値との差なども考慮)、MRI検査などで判断します。生検することになりますと、麻酔をかけるために必要な血液検査、胸部レントゲン検査、心電図検査をします。ここで他の異常が見つかることもあり、そのときは別の検査が必要になることもあります。またこの病院では造影剤を使用して、尿道のレントゲン検査(尿道造影)までします。
  さて、この病院で生検をする日は月曜日と木曜日です。その前から入院していただきますので、標準の入院スケジュールは、金曜日に入院して翌週の月曜日生検し、水曜日退院(5泊6日)、あるいは水曜日に入院して翌日木曜日生検し、土曜日退院(3泊4日)のいずれかとなります。状態によっては入院が長引く場合もあり得ます。また他の方の手術との兼ね合いで、日程のご希望に沿えないこともあります。
  生検の結果は入院中には出ません。退院後外来でお知らせします。残念ながら癌と診断されますと、進行の程度を検査して、治療することになります。
  前立腺癌は転移するとしたら、骨や骨盤内のリンパ節に転移することが多いので、全身の骨の検査(骨シンチグラフィーといいます)、腹部骨盤のCT検査をします。
  治療は、年齢、全身状態、転移の有無などで、適応が変わりますから、個別具体的なことはここではお知らせできません。一般的には、内分泌療法、手術療法、放射線療法があります。この病院には現時点では放射線治療の設備がありませんので、適応のある方は他院を紹介します。
  限られた紙面ではすべてをお知らせすることはできません。前立腺癌を疑われた場合には、どちらの病院でも結構ですから、泌尿器科を受診するよう、お勧めします。

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