ろうさいニュース

このウィンドーを閉じる

石綿関連肺疾患について

内科部長  森山 裕之

  石綿関連肺疾患は、尼崎地区の工場周辺で発生した周辺住民を含む多数の発症が報告されてから、注目されるようになりました。
 石綿はその性質、線維性、抗張力、耐熱性、耐腐食性、経済性などにより、大量に主に建築材として用いられてきました。その輸入量は1千万トンで、1960年より急増し1995年の使用禁止にいたるまで続きました。輸入量=使用量と考えますと外国の統計などにより今後40年間に10万人が中皮種となる可能性が指摘されています。
 石綿関連肺疾患としては、中皮種、肺癌、石綿肺、および非悪性の胸膜プラーク、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚があげられます。今回は石綿曝露の指標である胸膜プラークを中心に説明します。
 胸膜プラークは通常曝露開始から15年以上を経て胸部X線で認められるようになります。建設作業者では1987年から1997年の10年間で0.82%から1.62%に増加しています。通常は1%以下ですから、石綿曝露を受けたというだけではなく、石綿による生体反応が拡大していることが予想されます。また胸部X線での胸膜プラークの検出率は8〜40%程度ですがCTではおおむね2倍の検出率があります。そのため当院ではできるだけ初診時胸部X線とCTを併用するようにしています。また以前はその所見があっても単なる非特異的炎症としてほとんど無視していたという診断側の問題もありました。

 プラークはそれそのものが呼吸障害を起こすわけではありませんが、労災補償で特に肺癌を認定するために重要です。中皮種は多くの場合、1年以上の石綿曝露歴があれば労災認定が可能です。またこれがあれば健康管理手帳が労働局よりもらえるようになり、年2回の健康診断がうけられます。これにより特に肺癌の早期発見につながると考えています。
 現在H19年3月までは1部上越市の助成でアスベスト検診が受けられますので気になされる人がおられましたらご相談ください。

このウィンドーを閉じる