ろうさいニュース

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(ろうさいニュース第30号掲載)

バミューダって、どこ?

新呼吸器外科部長 井上 政昭

 いつも労災ニュースを読んで頂きありがとうございます。このコーナーは病気に関するテーマについて書かれることが多いのですが、今回は少し趣をかえて私事について書かせて頂きます。実は、平成16年11月12日から24日まで海外出張に行ってきました。場所はバミューダを含めた2カ所です。バミューダはどこにあるかご存知ですか?バミューダトライアングルで有名ですが、正確に場所を知っている人は少ないのではないでしょうか? 場所はアメリカ東海岸から飛行機で2−3時間の距離にある大西洋上の小さな島々であります。バミューダの正式名称はイギリス直轄植民地バミューダ諸島です。今回の出張の主目的はバミューダで行われた学会 “DNA Repair and Mutagenesis: From Molecular Structure to Biological Consequences” で発表することです。日本語で言うと“遺伝子修復と変異原性”学会です。呼吸器外科医である私がこのような学会で発表するに到った経緯を簡単にご説明いたしますと、2001年1月から2002年12月までアメリカのバーモント大学の微生物学と分子遺伝学 (Microbiology and Molecular Genetics) に留学していました。この時、お世話になった教授が今回の学会の主催者の一人であったため出席を決めたのです。バミューダには飛行機で行くのですが、飛行機から見下ろすバミューダ諸島は、まさにコバルトブルーの海に浮かぶ常夏の島という感じでした。空港では歓迎の生演奏が行われており、ここはハワイ以上のリゾート地ではないかと感じました。しかし、ホテルへのタクシーで見た風景は、狭い荒れた道、小さな車(たくさんの1000ccクラスの日本車)、50CCバイクでした。この時、はじめに私が持っていたイメージと何か違うなという感じがしていました。学会は朝の8時30分から12時30分と午後4時から6時30分、夜は8時から10時までと一日中行われました。会場は一ヶ所なので毎日同じ場所で同じメンバーです。学会での話はもちろん全て英語です。ここで初めてわかったのですが、英語にも色々あるということです。つまり、アメリカ人の英語、フランス人の英語、ドイツ人の英語、日本人の英語と全て発音が異なるのです。それでなくても英語の苦手な私は、話の内容いぜんに英語を聞くことで疲れてしまいました。しかし、留学時代の友人に会って楽しく過ごすことも出来ました。午後は自由時間を使ってバミューダ観光に行ったのですが、これがあまり面白い所がないのです。ダウンタウンに行っても見る所もなく、バミューダに来た記念品を手に入れようとしても、あまりお土産品もないのです。また、バミューダはとても狭いところで、近くの灯台に登るとバミューダの端から端まで見通すことが出来ました。バミューダで数日過ごして判ったことは、ここはリゾート地であるがハワイのような観光地でないということです。ここに来る旅行客の目的は観光やショッピングではなく、アメリカやカナダの金持ちが自分の別荘や高級ホテルに滞在し、クルージング、水泳、ゴルフ、パーティーなどをしてゆっくりと自分の時間を楽しむ所であるということです。滞在して4日もすると行くところがなくなり、退屈な休憩時間を過ごし、早くバミューダを離れたいと思うようになりました。学会の帰りにはボストンでアメリカ時代の友人と2日間過ごし、その後、オハイオ州シンシナチーに行き、私たちが手術で使用している胸腔鏡手術器具メーカーの本社を訪問し手術器具に対しての意見交換を行い帰国となりました。さて、今回私が参加した学会の内容は病気に関係があるのかな、と考える人もいると思います。これが大いに関係があるのです。遺伝子修復に異常がある人は特殊な遺伝病を発病し苦しんでいます。また、この修復能力が低下すると癌になったり、多くの病気になったりします。このような研究を続けることで一人でも多くの患者の治療や、病気の発病予防に貢献できる日が来ることを願っています。

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